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新型コロナ禍考

新型コロナで一気に進んだリモートワーク&オンライン授業。斗満学院でも一部の教室でオンライン授業を取り入れました。僕が担当する西荻窪教室では制限が解除された後も、訳あってオンライン授業を取り入れています。対面とオンラインのハイブリッド。

このオンライン授業。何ヶ月かやってみていろいろ思うところがあったので、ちょっとお話ししてみたいと思います。オンライン授業の良いところ・良くないところ。

●オンライン授業の良いところ①
コロナ対策としてはこれ以上の安全はない
家庭内感染のリスクもありますから絶対というわけではないでしょうが、何といってもこれが一番大きい。コロナが終息すれば無くなってしまう最大のメリットがこれです。

●オンライン授業の良いところ②
通塾の必要がない=通塾のための移動時間がない、あるいは自宅で受講できる
これもメリットではありますが、そんなに大きくはないかも。というのも「塾で集まって授業を受ける」というメリハリは、実は結構大きい心理的効用があると思うからなんです。
僕なんかは自宅で仕事すると気が散って無理なんで、3月4月の自粛中も午前中から職場に出て仕事をしていました。人によるのかもしれませんが、「通塾の必要がない」はメリットデメリット 半々といったところです。

他にオンライン授業の良いところねぇ・・・・うーーん。良くないところばかりが思いつきますなぁ。

✖︎オンライン授業の良くないところ①
できない(ムかない)授業がある。
導入の授業。生徒さんによって理解度に差があるから彼らの顔色を見ながら進めるというのが大切なんですけれど、これが難しい。表情だったりペンの進みなんかを細かく見てあげるっていうことができないんで、どうしても一方通行になりがちです。
また、3D系の授業、理科の天体分野ですとか空間図形ですとかは苦手そうですなぁ。あらかじめ仕込みのある映像でも用意できればいいのですが、うちくらいの規模ですと難しいかな。ここは強制的に対面授業でお願いします。

✖︎オンライン授業の良くないところ②
教材の準備が大変
オンライン授業初期の頃、対面で使っていた教材をそのままオンラインで使おうとして、すぐに気がつきました。オンラインはオンライン専用の教材を用意しないと授業がうまく機能しない。
授業によっては、映像を流してそのあとチェックテスト・答え合わせでハイ終わり、みたいなのもあるとか。これ、大学受験生なら可能でも小中学生には無理だと思います。
完全に授業する側の都合なのですが、このオンライン授業はとにかく教材の用意が大変です。特に教材の手配ミスって「先生、そのプリントもらっていません」という生徒さんが出たりするとアウト。「すぐに届けるからちょっと待ってて!」と雨の中ご自宅まで自転車で届けて風邪をひくハプニングですとか、もうこれがトラウマになって昼間から生徒さん宅回ってプリント配布したりとか、ウーバーイーツ並みに大変です。

✖︎オンライン授業の良くないところ③
授業中にプリントを追加できない
②にかぶるんですけれど、授業の最中に追加のプリントを配布することができないっていうのもなかなかストレスです。生徒さんによって得意不得意っていう分野があるのが当たり前で、そういうときは抜けている知識をカバーするプリントを生徒さんお一人おひとりに合わせてお渡ししたいんですけれど、これができない。ストレスですわー。


オンライン授業やってみて、今後も継続してやってみたいこと①
▪️各ご家庭にプリンターがあったらいいなぁ〜
前出の「オンライン授業の良くないところ③」、これだけでしたらご自宅にプリンターを用意してもらえれば解決するかも。今時スマホからでも直接プリンター動かせますから、プリントをLINEで送ってそのまま出力してもらえれば解決できることです。これ、コロナが終わった後でもとても便利な機能なので、来年以降は各ご家庭にお願いしてみようかしら。
各ご家庭にプリントをデータで送れるっていうのは、それ以外にもものすごいメリットあると思います。期末前日に最後のチェックシートを送ったり、欠席者に課題を送ったりですとか。「明日までの宿題プリント無くしちゃってどうしたらいいですか?」みたいな問い合わせ、無くすこと自体がまずダメなんですけれど、パッと送付できれば最低限のノルマは達成できますからね。


オンライン授業やってみて、今後も継続してやってみたいこと②
▪️ロイロノートスクールを使った添削指導
このアプリ、操作性が今ひとつ練られていなくて使いづらいところが多々あるんですけれど、そういったことを差っ引いても「オンラインで答案を提出できる」っていうのはすごく便利です。数学の証明問題ですとか英作文ですとか。「解答渡して終わり」「解説つけて終わり」が全く向かないこれらの単元。生徒さん一人一人の答案を全部見てあげないといけないんですけれど、対面の授業内だけでこれをやろうとするとどうしても時間的な制約ができる。そこでオンライン提出。授業外の時間にたっぷりと添削できますし、仮に対面授業が週に2回しかなくても、提出はいつでもできるとなると勉強時間が一気に増えると思います。もちろんこちらからすると、土日も朝からバンバン提出がきますから心がなかなか休まらないんですけれど、それでも生徒さんの利便を考えたらそのくらいやってあげてもいいのかも。僕はしばらくこれ、工夫しながら続けてみたいと思っています。
意外な利点としては、ロイロ提出は生徒さんのIDに提出プリントが紐付けされるので、対面授業内で無記名プリント提出されて「この答案、誰の?名前書けって言ってるっしょメンドくせえな〜誰だ!」と提出主を探すストレスからも解放されて一石二鳥です。
ロイロ以外では、LINEを使っての答案のグループ提出なんかもなかなか便利で面白いです。子供さんにLINEの使用を禁止しているご家庭もあるとは思いますが、解答送ったり一斉連絡したりでは圧倒的な利便性。PCと完全同期するところなども素晴らしく便利です。

とまあ、雑感多々。考えるところ、まだまだ他にもあるんですけれど、結論からいうとオンライン授業には「新型コロナ対策」以外の大きなメリットって、、、、実は一つも無いです。もし他にオンライン授業に明確なメリットがあるとすれば、「どこでも授業が受けられる」ではなくて「どこでも授業を行える」という「教える側のメリット」なのだと思います。ハワイからでも沖縄からでも授業を発信できるっていうのは、発信する側からすれば合理的なのかもしれませんよね。でも授業を受ける側からすれば、そんなもん何のメリットにもならんわけです。

さて、今回のコロナ禍のなかでいろいろ考えて、本当に様々なことを考えさせられて、その中でも一番の気付きは、授業=説明や添削の対価として僕らは報酬を得ているばかりではないのだということでしょうか。
一概に授業といっても、その中には「導入」「記録」「確認」「練習」「暗記」「演習」とさまざまな段階があって、その一つひとつを僕らは計画し、実行し、実行させる。そしてここがものすごく大事なんですけれど、生徒さんが取り組む課題の進捗に応じて僕らは柔軟に計画を修正する。あるいは新たな目標を与え、到達のために叱責し、励ます。
オンライン授業と対面授業では、こういった対応力にあまりに差があるのです。机に突っ伏して眠ってしまった生徒さんの肩を叩くことすら、オンライン授業ではできないのです。

人間関係の上に成り立つ伝達にこそ授業の本質がある。コロナ禍の中で、今回僕が学んだことです。

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