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久米川教室

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【久米川教室】30名でも1名でも

久米川教室、初めての受験が終わりました。

受験生はたった1名でした。

今まで、中学3年生の人数に関しては、ブログ内でも1名とは口が裂けても言えませんでした。
開校時に「絶対20名以上集めます!」と社長の馬渕の前で啖呵を切ったのもありますし、1名だけで(経営的に)大丈夫かという世間の目を気にしてしまったからです。

通っていただいた生徒さんは、数年前にお姉さん達がTOMAN西荻窪教室に通ってくれて、もともとTOMANを知ってくれていました。
その後西荻窪から引越しをしたそうで、隣接エリアに久米川教室が開校するということでお母様の絶大な信頼のもと入塾をしてくれました。
本当にありがたいことです。

他の中学3年生は問い合わせはあれど、この地域では全く知名度のない塾。なかなか通うには至ってくれず。

結局、この1名の生徒さんだけで今年度の受験を迎えることになりました。

夏からスタートしたということもあって、生徒さんとの信頼関係はなかなか築けません。緊張感というプレスも効きません。
宿題をやり忘れる、宿題を失くす、宿題の存在自体を覚えていない、前回の授業で教えたことは綺麗さっぱり忘れる、何度言っても記述問題は一切書く気がない・・・・。
これまで前任の石神井台教室や桃井教室で30名近くの生徒さんを指導し、一応そこそこのリーダーシップを発揮してきたつもりでしたが、この生徒さんには完敗。
おそらく原因は、彼女には志望校はあれど、頑張っていく自信が全く持てていなかったことであったように思います。

冷静に理詰めしても、時に激しく叱っても、何をしても暖簾に腕押し。

僕はどうやら傲っていたようです。
一個人の性格や価値観を変えるなんて、実はそう簡単にできるものじゃないこと。
勤続10年にして思い知らされました。

冬期講習中でさえ、点数に執着する姿勢は彼女から感じられません。
この生徒さんにとって受験はまだまだ他人事のよう。自分の無力さに涙が出たことを記憶しています。

ただ、僕も諦めの悪い男なので、絶対にこの子を希望する都立に受からせてやる!という思いは消えませんでした。

少しずつ入試日が近づくにつれ、徐々にではありましたが良い変化が見られてきました。そんな矢先のことです。
2月の願書提出も間近、どうやら彼女なりに無理をしていたらしく、命に別状はないものの急遽入院するという事態に。
心配されるお母様に「願書は実力的に安全な高校に提出しましょう。」そう提案しました。
その時点では併願の私立も受験できるかわからなかったからです。

彼女の容体に関しては心配しかなかったのですが、僕はどこか緊張の糸が切れてしまいました。
苦戦していた生徒さんの合格がほぼ決まったようなものでしたから、本音を言えばそこへの安堵が大きかったのでしょう。
いつもは情熱的な人間のはずなのに、この時ばかりは自分の中の卑怯な部分が出てしまっていました。

このまま久米川の初年度が終わる、そう思っていました。

しかし無事退院したその生徒さんは自ら志願変更をしました。
安全と思しき高校から、自分の行きたい言わば挑戦校に。
あれだけ、「やる気のない」と思っていた生徒さんが、最後の最後で意志を貫いたのです。
当然、直近の丸1週間は入院等で勉強できていません。
「ここで最後に無理が効くものか。」僕は愚行だと思った反面、この出来事を心のうちでは喜んでいました。

やっぱり、この子はここで変わるんだ。僕はそのお手伝いができる。

そこからはそれまでとはうって変わって呼吸も合ってきました。
懸案だった数学も60点は切らないし70点台も大いに期待できると確信に変わりました。
土日も含み終日勉強する日々。ラスト2週間は光陰矢の如し。
そして当日、試験終了後に自己採点してもらうとそれまでとは比べ物にならない高得点。
「これは平均点も高い気がする・・・。」一抹の不安もありましたが、やりきった達成感がほとんどでしたね。
「これでダメだったら、もう仕方ないよ!」そう生徒さんにもフォローではなく、心から言えました。

そして、本日、彼女は無事合格しました。

30人相手だろうが1人相手だろうが、僕のとって受験の重さは変わりません。
僕はたった1人のため、奮闘したこの受験を生涯忘れないでしょう。
受験には十人十色のドラマがあります。僕はその一つ一つのお手伝いがしたくてこの仕事をしています。
生徒さんお一人おひとりをとことん大切にする塾、嘘偽りなくTOMANはそういう塾です。

新3年生は現在ようやく10名集まるというところ、まだまだ教室には余裕があります。
こんな僕たちと一緒に戦ってくれる生徒さん、ぜひお待ちしております。

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